このたび 第2回湖医会賞を授与いただき 光栄に存じ上げますとともに 心より御礼申し上げます。この度の受賞は 高齢者介護の仕事を滋賀医大卒業生として県下にて比較的早く開始したことを評価していただいたものと心を新たにいたしております。
私どもは 平成9年4月に老人保健施設ケアセンター志賀をオープンし 施設ケアを始めました。定員五十名でショートステイ、デイケア三十名、訪問看護ステーションを併設しており、滋賀県初の診療所併設型の老健で現在、約370名の利用者に在宅や施設で介護保険を利用していただいております。現在入所されている利用者はほとんど要介護4,5の 重度の要介護認定者で 施設サービスの重度化が問題となってきており 介護保険が目指すところの在宅復帰が困難になってきております。 また全国の調査でも施設サービスを利用されておられる 入所者の8割に痴呆があり これからの高齢者介護は、痴呆高齢者対応のハードとソフトでなければならないと思います。痴呆高齢者は環境の変化に弱く、集団介護や大規模施設にはなじみにくく、周囲の環境、対応の仕方によって痴呆が悪化することもあり、私どもの施設の痴呆専門棟にキッチンや畳の間の造設、桧の個人浴槽を取り入れる事で、家庭的な環境整備の改修をしております。
平成12年に志賀町で県下2番目の高齢者グループホーム志賀の里を、平成13年に大津市で初の高齢者グループホーム南志賀の里2ユニット(9名X 2 )と痴呆専用デイサービス(定員10名)を開設しました。グループホームでは 小規模な居住空間、なじみの人間関係、家庭的な雰囲気の中で、住み慣れた地域での生活を継続しながら、ひとりひとりの生活を支援していくもので、この介護の方法は、 ユニットケアに繋がっております。
本年9月に大津市のご推挙もあり 唐崎に県下初の全室個室ユニットケアの新型特養 ケアタウンからさき をオープンします。在宅介護支援センターやヘルパーステーション、 50床のケアハウスも併設した高齢者福祉複合施設です。最近臨床医学ではエビデンスが当たり前のこととなってきておりますが、高齢者の介護の現場は未だ3K (経験、勘、コツ)の世界で、特に痴呆性高齢者のケアは未だ発展途上で ケアの標準化 方法論の確立 介護職員の質の向上 人材育成が課題であります。ケアタウンからさきでは、質の高い人材の育成に取り組み、竜谷大学の社会福祉学部との連携も視野に入れ、保健、医療、福祉の専門職の連携を深めていきたいと考えております。
これからの10年後 団塊の世代が高齢化世代の仲間入りをし、3人に1人が65歳以上の超高齢化社会を迎えます。厚生労働省はこれからは従来のような大規模な施設を造るのではなく、小規模、多機能サービス拠点を中学校区、小学校区に整備する計画です。
ユニットケア、高齢者介護、痴呆介護、施設運営に興味のある方は、ご一報ください。
このたびはまことにありがとうございました。